近年子供が生まれてくる方法は様々で、あまりその方法が重要なことではなくなってきました。方法が何であれ、カップル達はこの世界に新しい命を創造する旅を楽しんでいます。アーロンとレイチェルの2人は驚異的な物語の持ち主です。2人には三つ子が生まれたのですが、何故か病院のスタッフ達は奇妙に思うことがありました。一体何を見たのでしょうか。
異なる世界
このカップルはそれぞれ世界の異なった地域で生まれ育ちました。レイチェルはミシシッピ州のデルタで育ち、一方アーロンはホンジュラスで生まれ育ち、両親が福音派の宣教師をしていたそうです。レイチェルはあまり人種の多様性に馴染みがありませんでしたが、アーロンは自身の故郷で唯一のブロンド髪の青い目の子供として育ったため、この概念を理解していました。ある日若き大人となったレイチェルは宣教旅行に出かけます。もっと大きな責任を背負い、経験を積みたいと考えていたのです。
ブラインドデート
そんな2人はブラインドデートで2004年に出会いました。実は2人とも一目惚れだったそう。お互い宣教師だった二人は、福音書を通して世界を変えるという同じ夢を共有することが出来ました。その瞬間から、2人には結婚して家族になる2人の姿が見えていたようです。ですが2人とも結婚には急いでいなかったので、デートを重ね、お互いのことを知ろうとしました。
ゆっくりと
2人の距離は宣教旅行中にグッと近づきました。最終的に、彼らの関係は特別なものに発展したのです。カップルはデートを続け、この特別なつながりを共有するようにしていました。2人の絆をさらに強くしたのは、養子を受け入れたいという同じ要望でした。アーロンは後日ワシントンポスト紙に、「私たちがまだ付き合っていたとき、私たちをさらに引き寄せたのは、レイチェルと私が2人とも養子縁組夢見ていたことでした」と語っています。
未来への計画
この2人の生殖能力には問題はありませんでしたが、2人ともクリスチャンがすべきことは養子縁組であると単に感じていたそう。「私たちは不妊というわけではなかったのですが、私たち2人とも養子縁組をすることが教徒としての生き方だと心から信じていました」と彼は説明しています。2人が養子縁組について話し始めるとすぐに、お互い一生一緒にいたいと思うようになりました。その後、最終的にアーロンはレイチェルにプロポーズ!もちろん、彼女は「はい」と答えました。結婚式もその後すぐに行われました。
結婚した二人
たくさんの人が運命の相手を見つけるのに苦労し、大人になってからのほとんどの時間を費やしてパートナーを探しています。しかしこのアーロンとレイチェルは例外で、2人はすぐにつながりました。そして2006年に結婚した2人。結婚した後すぐに子供を持つことを熱望した夫婦でしたが、少し待つことにしました。親になりたいという気持ちは強くありましたが、宣教活動で忙しい状態にあったのです。きっと「その時期」が来るとこの夫婦は信じていました…
新しい任務
ホンジュラスへの赴任を言い渡された時、二人は結婚してからそれほど時間が経っていませんでした。彼らはこの任務を遂行することを心に決め、その年にホンジュラスに旅立ちました。ホンジュラスはアーロンの故郷です。レイチェルは彼の故郷を見てワクワクしていました。二人は宣教師活動の一つとしてテグシガルパのすぐ隣の町で教師を務め始めます。一般人の理想的な新婚旅行ではないかもしれませんが、カップルにとっては理想的な赴任でした。到着してから、2人はこの地域のいくつかの変化に気づき始めましたのですが…
必要とされていた2人
ホンジュラスに来て数ヶ月が経ち、2人は今いる地域について心配をしていました。このカップルは公で物事を話すことに躊躇いはありません。なので宣教師としてここでも福音を説きたいと思うようになります。夫婦は、ここで果たす使命、目的があることを理解していました。もっと長く滞在したいと考えていましたが、残念なことにミシシッピに帰る時が来てしまいます。彼らはここで出会った人々のことを心に刻み、滞在期間で成し遂げたことを振り返りながらミシシッピに戻りました。そして戻ってきた我が家・・・そこには大きな変化が2人を待っていました!
帰宅
落ち着いた通常の宣教活動と生活に戻った2人ですが、ホンジュラスから帰ってきたアーロンは出発前とは別の考えが思い浮かびます。アーロンはいつも聖職者の学位である神学の修士号を取得することを夢見ていました。なんと彼はこれを実際に成し遂げ、ミシシッピ州のジャクソンで改革派神学セミナーの学校を始めました。ですがずっと心のどこかでホンジュラスに戻ることを願う2人・・・。数年が経過し、夫婦は養子縁組するべきか妊娠するべきか、1人目の子供を持つ計画について考え始めました。
地域社会
アーロンとレイチェルは、ミシシッピ州でも自分たちの社会に奉仕したいと考えていました。宣教師として、彼らがやるべきことが常にあると感じたのです。アーロンはヤズーの第二長老派教会で働き、そこでインターン兼青年部長を務めました。そんな中で2人は養子縁組へと意見が傾くようになりました。後日ワシントンポスト紙に語ったアーロンは、「私たちは子供たちの保護を慈善や政治的議題の一部としてではなく、神の心に近いものとして見ています」と話しています。
準備をし始めた2人
それでもこのカップルはいまだにホンジュラスを訪問すること考えていました。あの社会に必要なものが何なのか、2人にはよくわかっていたのです。アーロンとレイチェルはアメリカの長老派教会での任務に戻りました。子供が欲しいと考えた2人は自然妊娠にもチャレンジしましたが、同時にミシシッピにある養子縁組機関を訪問しています。そこで養子縁組などに関してしっかりと学んだのだそうです。自分たちの「家族」を始める準備をしたのでした。
家族が増えるということ
彼らが初めて養子縁組機関を訪問した時、これが彼らにとって正しい道だと悟ったアーロンとレイチェル。夫婦は、特に白人以外の孤児が新しい家族を見つけるのが難しい現実を知っていました。なので白人以外の子供を養子にしたいとそこで話していました。「神が私たち2人が白人の子供を産むことを望んでいたら、レイチェルはきっともう妊娠していただろう」と。さあ2人この後どうしたのでしょうか?
養子縁組
代理店は2人が希望する孤児をすぐに見つけました。このカップルの決断は正しかったのでしょう、2人はアフリカ系アメリカ人の子孫である男の子と女の子の2人の子供と恋をしました。そこでこの2人を養子にすることに決めたのです!名前はフォードとキャサリン。2人はこの家族に温かく迎え入れられました。嬉しい気持ちでいっぱいのカップル。多国籍の家族が立ち向かわなければならない課題が複数あることも知っていましたが、どんな問題だろうと乗り越えられると2人は信じていました。
彼らの選択肢
養子縁組の直後に、さらに子供を増やすことについてもう話し合うようになった夫婦。もちろん2人は新米ママパパとして忙しかったので、また家族を増やす時期としては適切ではなかったかもしれません。しかし、ある日とある友人が2人に胚の養子縁組について話し、調べるようにアドバイスしました。2人はこれを「神からの思し召し」として捉えたのです。初めて耳にした「胚の養子縁組」について調べ、多くのことを学びます。
胚の養子縁組
その後数週間で、彼らはこのトピックに関してできる限りのことを学びました。アーロンは次のように話しています。「私たちは、米国だけで数十万個の胚が凍結されている世界に住んでいます。生物学的親によって選ばれなかったほとんどの命が、科学に寄付されるか、破壊されるか、冷凍保存されているのです。」これは、多くの胚が無駄になることが多いことを意味していますが、この方法で他人がこれらの胚を利用することができるのです。カップルはすぐにこのアイデアに惹かれました。
計画決行!
色々調べた2人は、「胚の養子縁組」をすることが彼らの使命であると感じます。この方法ではレイチェルは実際に妊娠し経験し出産することになります。2人のこの決断は彼らの信念に基づくものでした。「クリスチャン(や他の人たち)が、人生は受胎から始まると本当に信じているのなら、胚の養子縁組を喜んで支援し、実際に自ら養子縁組に参加するべきだろう」とアーロンは説明しています。夫婦は決断し、このプロセスを開始するために国立胚寄付センターに向かいました。
簡単ではない手順
レイチェルはこの計画を始めることが嬉しく、夢のように感じていました。もちろん、緊張も恐怖も少しありました。レイチェルは、胚の受胎のために自身の体を準備しなければならず治療を受けることになりますが、すべて順調に進みます。2015年9月になって、彼女は体外受精のプロセスを開始する準備ができていました。彼らができることはただ辛抱強く、状態を見守ることだけです。養子縁組の難しい段階であることは間違いありません。
確率
通常の体外受精と同じように、通過しなければならないいくつかの課題がありました。その課題を乗り越えるには運命と運も必要です。体外受精は、実際の施術の前に数ヶ月のホルモン治療も行います。それでも、実際に肺が女性のお腹の中に着床する可能性は10パーセントしかありません。また1回の体外受精で10,000ドルから15,000ドル(約100〜150万円)の費用がかかる可能性があるのです。ほとんどの保険が体外受精のコストをカバーしていないので、この費用が2人のストレスとなったに違いありませんでした。
彼女を見守りながら・・・
実は宣教活動のためにホンジュラスに戻る準備をしている間に、2人はこの体外受精のプロセスを乗り越えていました。当時胚の着床が成功したかどうかを確認するのを待っていましたが、家族に時間の猶予はなく、2人は子供と一緒にホンジュラス行きの飛行機に乗り込みます。そして胚移植の6週間後、着床したかどうかを確認するために地元ホンジュラスの病院に行きました。カップルは慣れないスペイン語で医者に話し、必死に状況を説明しました。
「数」
その検診で医者は少し困惑し驚いていたようでした。体外受精のこともよく理解していた医師ですが何かが引っかかったようです。移植されたのは2つの胚だけなのかと2人に質問しました。ともかく体外受精は成功していたようです!!カップルは大喜び!しかし、医師には2人に伝えなければならない報告が他にもありました・・・
三つ子!
エコー画像を2人に見せるホンジュラス人医師。彼が困惑していた理由が明らかになりました。実はレイチェルが三つ子を妊娠していたのです!!4人家族だった彼らは7人家族になろうとしていました。2人は嬉しさいっぱいであると同時に大きな衝撃を受けていました。これが神様が望むことなのだろうと2人は考えます。2人とも大家族には憧れがありました。それがついに現実になろうとしているのです!
奇跡
夫婦は三つ子の出産を楽しみにしていましたが、すでにいる子供フォードとキャサリンも大喜び。アーロンは自身のFacebook上で「少し茶色の肌の息子と巻き毛の娘が、白人の妻の大きなお腹にキスする姿を見ていて本当に幸せな気分だ。2人は毎晩お腹の三つ子におやすみと声をかけているんだよ。」とその幸せいっぱいの様子を共有しました。フォードとキャサリンは三つ子との対面の日が待ちきれません。
そして迎えたその日
2016年、レイチェルはついに三つ子の女の子を出産しました!名前はアン、ホイットリー、ライリーです。当初は予定もしていなかった三つ子ですが、むしろ嬉しい結果に2人はこれまでにないくらいに喜んでいました。「この小さな女の子たちを神様から授かった私たちは感謝に気持ちでいっぱいです!」アーロンは言いました。アーロンは自分の子供たちが神からの一番大きな祝福だと思っていました。彼はまた「大きくなった家族を見て、きっと天国はこのような場所なのではないかと思うようにもなりました」と話しています。
異人種混合の家族
子供たちとは血がつながっていませんが、アーロンとレイチェルは彼らを自分の子供たちとして育てていることに誇りを思っていました。そして2人は複数の人種が混ざり合った家族のその美しさを愛しています。アーロンはまた次のように述べています。「多人種家族の美しさが目の前にあります。なぜなら人との「違い」は、私たちをより豊かにするそのもので、その「違い」によってあなたは新しい考え方や話し方、行動、そして生き方について考えることになるのです。この前の土曜日の朝に息子が髪を切りに行った時、私はアフリカ系アメリカ人の友人の何人かと座って話している唯一の白人種でした。何か美しくて豊かなものがそこにあるように感じています。」
多くのサポート
この家族は数えきれないたくさんの支援を受けました。アーロンは「普通とは違った方法で築かれた私たち家族に、たくさんの支援の手を差し伸べてくれた家族や友人たちに心が熱くなりました」と明かしています。また2人は彼らの「神からの任務」を完了したことを嬉しく思っていました。「不可能だと思っていたことが実現し、ただ夢の中にいるような気分です。私たちは普通の家族のようには見えないかもしれませんが、私たちの元でこの世に生まれてきてくれたことに本当に感謝しています。」とアーロンは話しました。
人々の反応
しかし2人のこの人生の選択をよく思わない人もいました。「特に南部では、白人以外の子供を持つ白人のカップルに人々が様々な反応をすることを私たちは知っていました。ウォルマート(ショッピングモール)では、明らかに嫌悪感を持って私たちを見つめる年配の白人女性や、私たちを見て首を横に振ったアフリカ系アメリカ人の母親によく出くわします」とアーロンはワシントンポスト紙へのインタビューで話しています。「しかし褐色肌のこの小さな男の子が私たちの息子だと言ったときに泣いて祝福してくれた若い黒人の女の子もいました。そしてその息子を愛情いっぱいで優しく抱きあげてくれた年配の白人医師もいました」と彼は続けました。
気にしないこと
この家族はいつも人々の視線を浴びることになるでしょう。すべての人間が人種の多様性に前向きな意見を持っていないことはわかっていました。しかし、彼らはその人たちが受け入れてくれなくても気にしません。アーロンは言います。「キリスト教の中心的なテーマの1つは、結局のところ、神は御子を通して、あらゆる言語・部族・国の人々を召されているということです。多様性を認識することで、さまざまな色や個性・能力を持つ人々を創造された神の驚異的なお力を感じ、この世界をより強くすることができます。私たちの違いは、軽蔑するものではなく喜ぶべきことなのです。」
養子縁組の難しさとは
「胚の養子縁組は、ドナー家族にとっても非常に難しい問題です。養子縁組のために凍結胚を寄付することは、おそらくこれまでで最も難しい決断だと思います」とレイチェルは話しています。彼女は子供をあきらめなければならなかった人々の心にも寄り添いました。「他の誰かがあなたの生物学的な子供を育てていることを知るのはとても辛いことです。医学的な問題や家族の規模、経済的な問題または年齢など何か理由があって、これ以上の体外受精ができないのです。」
出産の経験
胚の養子縁組は一般的なものではありませんが、それはアーロンとレイチェルにとって完璧な選択でした。夫婦は三つ子だけでなく、妊娠の貴重な経験をすることもできました。レイチェルはこの妊娠体験を「美しくユニーク」だったと話しています。彼女はまた、胚を提供してくれた「勇敢で愛のある」生物学上の両親に感謝の気持ちを述べました。
大切なこと
夫婦は、胚の養子縁組も通常の養子縁組も同じくらい大切なものだと感じています。2人は、胚の養子縁組があまり知られていないことを知りました。しかし、何百万もの胚がドナーを待っているのです。今回夫婦が使用した胚はなんと12年間もドナーを待っていました。「世界中で養子縁組されるのを待っている赤ちゃんや子供たちよりも、ドナーを待っている胚が大切であると言っているのではありません。そして大切でないわけでもないのです。子供たちの命はすべて平等です」とレイチェルは説明しました。
5人の母
世界中のお母さんが、暇な時間などほとんどないことに同感でしょう。さて、彼女の場合それが5倍となりました。家庭内は毎日忙しく混沌としていましたが、それでもレイチェルは小さな子供たちを見守るのが大好きです。彼女は次のように話しました。「母としての私の人生は、他の母親たちの人生と変わりありません。5人の空腹の子供たちに食事を与え、数えきれない回数のおむつ交換をし、家事と子守をして・・・そして5人全員を愛し、遊んで、4人の愛らしい女の子と1人のハンサムボーイの髪の毛を結うこと/結い方を学ぶことで忙しい毎日です。自分が食事をする時間もあまりありませんが。」
家族
この善意に満ち溢れたカップルは心を開いて養子縁組のアイデアを受け入れ、その見返りに信じられないほどの神の祝福を受けることになりました。元々レイチェルは4〜5人の子供がいる家庭を望んでいましたが、まさかこんなに早く現実になるとは思ってもいませんでした。5人の子供たちは幸せで健康そのものです。彼らには2人の偉大な両親がいて、2人はあるべき価値観や道徳を子供たちに示しています。きっとこのお母さん・お父さんと同じように、思いやり、優しさ、前向きな気持ちを持って成長することに間違いありません。
その後・・・
2人はさらに子供を増やす予定なのでしょうか・・・?現時点ではあまり考えてはいないようです。「どんな未来が私たちを待っているのかを様子を見ることにします。私たちは今ここにある人生を楽しんでいます」とレイチェルは話しました。2人が5人の子供のお世話で手いっぱいであることは明らかですね!この物語が、胚の養子縁組を検討している他の人の決断を後押しすることを2人は願っていました。さてそんなアーロンとレイチェルの宣教師としての任務はまだ終わっていません。
7人家族
さて、三つ子が生まれたので、彼らはテグシガルパに移ることに決めました。アーロンとレイチェルは首都で働き、恵まれない人々に恩返しをしたいと考えていました。また、5人の子供のお世話もそれと同様に大切なことです。もちろんレイチェルには今現在主婦もあり大忙し!夫妻は、可能な限りあらゆる方法で福音を広め続けています。
新たな出発点
子供たち5人はアメリカとホンジュラスで楽しく育ちます。この家族写真は確かに一般的なものではありませんが、その多様性とお互いへの愛情で輝いていることがわかります。彼ら家族の生き方が「慈愛」を描写していた素晴らしい家族物語。今もどこかで楽しく人生を歩んでいることでしょう・・・。