ある日出会った子猫。弱っていた子猫を助けた高野さんは、子猫を保護することに決めました。完全に犬派だった高野さん一家は、子猫と暮らすようになり、子猫の可愛らしさに魅了されていきます。今回ご紹介するのは、一匹の子猫との不思議な巡り合わせを体験した高野さんのお話です。
出会いは2019年6月 自宅近くの空き地で 「ミャーミャー」という鳴き声に気づいたのは、千葉県に住む高野さんの家の子どもたちでした。向かいの空き地から聞こえる声の方へ向かうと、電柱のそばで鳴いている一匹の子猫を発見。小さな声で鳴くその子猫は、とても弱っている様子でした。
子猫の目には目やにがこびり付き、目も十分に開けられていません。被毛は薄汚れており、目もよく見えていないようでした。子どもたちと子猫を発見した高野さんは、あまりの事態にどうしたら良いのか判断できず、夫に電話で助けを求めます。
高野さんと夫が話し合った結果、まずは動物病院で子猫の治療をすることが大切だと判断しました。もちろん保健所や警察に電話をすることもできましたが、子猫を助けたい一心で子猫をタオルにくるみ、急いで動物病院へ連れて行くことに
「この子猫を飼いますか?それとも里親に出しますか?」
動物病院に連れて行くと、子猫は脱水症状の治療とダニの駆除の治療が必要と診断されました。治療はすぐに行えるものではなく、入院することに。
獣医師から猫の習性や飼育方法についてレクチャーを受けた際「この子猫を飼いますか?それとも里親に出しますか?」と聞かれました。突然の質問にすぐに答えが出せなかった高野さんは「まずは子猫を元気にしてもらいたい」とお願いします。
帰り際に「とにかくまた明日、子猫の様子を見に来てください」と念を押されました。入院後、子猫を買うのか決められないまま、高野さんは自宅に戻ります。
子猫の里親を探すも見つからず…
実は高野さんには、すぐに子猫を飼うと決められない理由がありました。実は高野さん一家は、保護犬の引き取りを計画していたのです。
子猫を飼う予定など全くなかった高野さんは、とりあえず周囲の猫好きの人に子猫を飼えないか尋ねました。しかし、子猫を飼える人がなかなか見つかりません。
子猫の里親を探す中で、高野さんにも心境の変化がありました。それは「猫を飼っている人は意外と多く、猫は犬よりも手がかからない」ということ。
翌日、動物病院へ子猫の様子を見に行くと、前日からは想像できないほど顔がきれいになっていました。看護師さんからも「この子はイケメンになりますよ」と言われ、高野さんの中に子猫への親近感が湧いてきます。看護師さんから、生後1ヶ月半くらいだという子猫がご飯を少し食べられたと聞いたときも、安心したそうです。
実は高野さん一家は、15年間一緒に暮らしたダックスフンドのリクを3年前に亡くした経験がありました。子猫を見ていると何か縁のようなものを感じ「これもリクからのメッセージなのかな…」と感じるようになったと言います。そうして高野さん一家は、2泊3日の入院後、子猫を家族の一員として迎え入れることを決めたのです。これは完全な犬派だった高野さん一家にとって大きな決断でした。
猫は本当に飼いやすい!すっかり大切な家族に
高野さん一家はその子猫に、たくましく育って欲しいという願いを込めて「レオ」と名付けます。犬を飼った経験しかない高野さんは、レオにもトイレトレーニングをしなければいけないと思い込んでいましたが、なんとレオは何も教えていないのに猫砂トイレをクリア。段ボールの爪とぎもすぐに覚え、高野さん一家は非常に驚いたそうです。
レオは手がかからず気まぐれな男の子で、高野さんの子どもたちともすぐに仲良くなりました。子どもたちにくっついたり、一緒に寝たりと、楽しい時間を過ごしているそうです。
保護したときは弱々しかったリクも、今ではすっかり高野さん一家を支える存在となりました。亡くなった犬のリクを思い出し子どもたちがしんみりしていると、レオは足の上に寝転がるんだとか。
この仕草はリクが生前よくやっていたもので、高野さんは「もしかしてレオの中にリクがいるのかな…」と不思議な気持ちになったそうです。
レオの温もりはリクのものと非常によく似ており、子どもたちもホッとしたんだとか。レオは子どもたちの気持ちをよく理解してるようだと高野さんは語っています。
小さなレオが命の温かさを教えてくれた
朝5時からご飯をせがむレオのおかげで、高野さん一家はすっかり早起きになりました。お子さんはレオと一緒ならお留守番も寂しくないと語っており、今ではすっかり仲良しです。
レオとの出会いは偶然でしたが、高野さん一家にとってレオはかけがえのない存在となりました。レオは今日も小さな温もりのある小さな身体で、高野さん一家に命の大切さを伝えてくれています。