島や谷、川を結ぶ橋。大昔の橋は自然の倒木や川に飛び石を置いたものだけだったのが、現代では長大な橋を建設するようになりました。真っ青な海の上を渡る橋や、足がすくんでしまう吊り橋、自然の中に溶け込んだ美しい木造橋など日本をはじめ世界にも名物と言われる橋がたくさんあります。その中でも見ても渡っても思わず息を飲むような橋をご紹介します。
1. 熱帯雨林のジャングルを上から楽しむ「カカム・キャノピー・ウォーク」
ガーナのカカム国立公園はガーナの中でも一番の観光地。年間で約35万人もの観光客が訪れます。その中でも一番有名なのが「キャノピー・ウォーク」。大自然の中、全長350m、最高で地上40mの吊り橋が7本あり、なかなかの迫力です。熱帯雨林の木々の上を超え、無事渡ることができれば550種類を超える蝶、約400種類の鳥、猿や時には野生のゾウも現れるカカムナショナルパークの大自然を満喫することができます。ただ綱とワイヤーで支えられた細い幅の板を渡るには勇気が必要かも。人が足を踏み出すだけで大きく揺れ、その高さと橋の心許なさに(半年に一度はロープを貼り替えているとはいえ)打ち勝てた者だけが動物たちと同じ目線の景色を楽しむことができます。
2. 世界で最も危険な「フセイニ吊り橋」
「世界で最も危険な橋」として有名なパキスタン北部のボリス湖にかけられたフセイニ吊り橋。全長200m、水面から高さ6mの吊り橋は、対岸に耕作地に行くために川幅が広く流れの早い大きな川を渡らなくてすむように作られたそうです。もともと予算がなく、ロープと板だけで作られていて、足の踏み場より、板と板の隙間の方が多い!高さはそれほどではないものの、まさに一歩一歩進むのにに覚悟が必要な橋です。一度不安定になって流され、再建されたそんな危なすぎる橋ですが、いまだに命を顧みずに渡る旅行者が絶えないのだとか。
3. 世界初!ガラスの吊り橋「張家界玻璃橋」
中国湖南省張家界市にある武陵限は映画「アバター」の舞台としても有名ですが、その一角にあるのが、2016年8月にオープンしたガラスの吊り橋「張家界玻璃橋」。名前の通り、透明の歩道になっています(中国語で玻璃はガラスの意味)。メイン素材がガラスでできていると言うことだけでも世界初なのですが、長さは430m、地上300m!さらに世界最高度にあるバンジージャンプ台や世界最大傾斜のジップラインまであります。幅も強度もありそうですが、やはり眼下に渓谷が広がっているのはちょっと怖いかも?
4. モンブラン山群の空中回廊「エギーユ・デュ・ミディ橋」
フランス・アルプス山脈にあるモンブラン山系の高峰の一つ「エギーユ・デュ・ミディ」。標高は3842mもありますが、麓のシャモニという街からはロープウェイで気軽に山頂付近まで行けてしまいます。ロープウェイを降りた地点から頂上に登るエレベーターがあり、ここに行くための短い橋が、空中に架けられた橋「エギーユ・デュ・ミディ橋」です。山頂には床も含め一面ガラス張りのシースルーになっている場所も。気軽にアルプスの白銀の世界に行けますが、そこはやはり高地ですので、高山病、寒さ対策はしっかり必要です。
5. 自然が創り出した奇跡の橋「仙人橋」
世界自然文化遺産にもなっている中国・山東省泰山。中国五岳の中でも一番の山として認められており、歴代の皇帝が「封禅の儀式」を執りおこなうなど中国人なら一度は登りたい山です。ここにある自然にできた橋が「仙人橋」。大岩の上に別の大岩が次々と乗り自然のアーチ橋になっています。狭い谷の間にまるで誰かが置いたように絶妙なバランスで幾つかの岩が挟まっています。近年の調査によると、少なくとも氷河期にはこの状態になっていたんだとか。
6. 世界最長の木造歩道橋「ウー・ベイン橋」
ミャンマー第二の都市、マンダレー郊外の街アマラプラ。ここにあるタウンタマン湖をまたいでかかる「ウー・ベイン橋」は世界最長1.2キロの橋。1849年の遷都の際、旧王宮で使われていたチーク材を使って造られました。1086本もの木製の橋脚が支えていますが、チーク材の柱は腐敗が進み、今にも崩れそう。写真映えのする美しい夕焼けの風景が有名ですが、混雑していると手すりのない橋からはうっかり落下しそうなので、気をつけて!ちなみに世界で2番目に危険な橋とも言われているそうです。
7. ゴールドラッシュを再び?「オジュエラ橋」
メキシコ北部マピミ郊外、ドゥランゴ渓谷にある今にも崩れそうな造りのオジェラ橋。1898年にマピミと金の鉱山を結ぶ目的で作られたこの橋は建造以来、大したメンテナンスを施すこともなく、鉱山から金が枯渇した後は使うこともなくなってしまった橋でした。しかし、1991年から観光名所として復活し、ゴールドラッシュの黄金時代の片鱗を見ることのできる炭鉱ツアーの目玉スポットとして現在では人気を誇っています。
8. ベトナムの日常生活に密着した橋「モンキー・ブリッジ」
ベトナムにあるこちらの橋は地元の人々の普段の生活に欠かせない橋。安全に橋を渡ろうとするとサルみたいな姿勢になってしまうところからモンキーブリッジと名前がつけられたそう。地元の人は慣れているのでトントンと渡れるし足もすくむことはないようですが観光客だと身軽で勇気ある人にしかお勧めできなそう。この橋は竹一本でできていて、たわみも激しく、下には川も流れています。竹の手すりもついていますが、手すりは片側にしかついていないそうです。
9. 抜群の景色とスリルを味わえる「かずら橋」
歩くとギシギシ音を立てゆらゆら揺れるスリル満点の徳島・祖谷のかずら橋は日本の三奇橋の一つ。平家の落人が追ってから逃げるため、いつでも切り落とせるよう、シラクチカズラで編んだと言われているこの吊り橋は国の重要有形民俗文化財にも指定されています。長さ45メートル、幅2メートル、水面からの高さは14メートルのこの橋は、足場となる渡してある木の間隔が広く、足元は谷底が丸見え。また一歩踏み出すたびに頼りなくゆらゆらと揺れるのでスリル満点です。
10. まるでジェットコースター!「江島大橋」
その急勾配から通称「ベタ踏み坂」と呼ばれ、ダイハツ・タントカスタムのCMで一挙に有名になった「江島大橋」。CGでは?と言われましたが実在するんです。島根県・松江市から鳥取県境港市へ中海をまたいで結ぶ日本一のPCラーメン橋で、全長約1.5キロ、下を5千トン級クラスの貨物船が通過できるよう高さは最上部で45メートルにも達します。まるでジェットコースターのような見た目で、歩いて渡った人はその手すりの低さと景色でゾクゾクする恐怖を味わえるんだとか。
11. 世界最大の斜張橋「ルースキー島連絡橋」
ロシア沿岸地方の主要都市ウラジオストックにある世界最長の斜張橋「ルースキー島連絡橋」。橋の全長は300メートル、主橋梁部は1886メートル、中央径間は1104メートルにも及ぶこの橋は2012年のAPEC会議に間に合うよう建設されました。ミヨー橋に続き世界2位のパイロンの高さを誇っています。以前、命綱なしでこの頭頂まで登る動画をSNSなどに投稿する遊びが若者を中心に流行し、社会問題にもなりました。300メートルを越す高さによじ登るなんて考えただけで身がすくみますね。
12. 下を見たら恐怖で気を失うかも?世界一の高さの「北盤江大橋」
こちらの中国南西部にかかる「北盤江大橋」は雲南省と貴州省にまたがる大渓谷の断崖絶壁に建設された橋。全長は1314メートル、谷底から橋までの高さは565メートルにもなります。この橋の完成により今まで5時間かかっていた道のりが1時間に短縮されたと言いますが、運転するドライバーのストレスも相当でしょうね。ビルの高さにすると200階にも相当する高さを疾走するわけですから!決して下を見ず、前だけを見て運転する必要がありますね。
13. 絶叫アクティビティ・バンジージャンプの元祖「カワラウ・ブリッジ」
1988年、世界で初めて観光用のバンジージャンプが設置された場所として有名なニュージーランド「カワラウ・ブリッジ」。美しいカワラウ渓谷に架けられたこの橋は1880年に建設された由緒ある建造物なんです。以前はカワラウ川を渡る唯一の方法でしたが、現在ではバンジージャンプにしか使われていません。43mと比較的(?)低い高さからのバンジーは初心者向けとされていますが・・・。もちろん見学だけできるバンジーセンターもあるので、こちらで見学するのも楽しいでしょう。近くには「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地になった場所も。
14. 動物たちも渡る「ガーサの吊り橋」
観光用の橋とは違い、深い渓谷を結ぶ地元民になくてはならない生活の道となっているのがネパール・ガーサにある吊り橋。ヒマラヤ山脈の麓にあるこの町はネパールの中でも味の魔術師として有名なチベット系・タカリ民族の村です。高地のこの村では羊や牛を飼っていて、牛飼い・羊飼いが動物たちを追い込むために使われているのがこの吊り橋です。もちろん人も一緒に渡りますが、この狭くて揺れる橋を渡るのはドキドキしますね。
15. 崖の谷間の圧倒的な高さと足元には急流「ロイヤル・ゴージ・ブリッジ」
アメリカのコロラド州にあるロイヤルゴージブリッジは2001年まで世界一高い橋でしたが、それでもなお現在でもアメリカでは断トツの高さを誇る吊り橋です。美しいキャノンシティの峡谷にかけられたこの橋は全長385メートルほどで、下を流れるアーカンサス川からの高さは290メートル以上。谷底まではさらに距離があり、大自然の景観に飲み込まれそうな圧倒的な迫力は、スリルを求める観光客の目を楽しませています。ここでは、321メートルと言う世界一の高さを誇るバンジージャンプを楽しむことができます。
16. 天国に一番近い橋「ミヨー橋」
南フランスにあるミヨー橋は世界一高い橋として知られていて、地上から橋の一倍高い部分までは340メートルもあります。エッフェル塔もすっぽりとはまってしまうほどの上空でパリとスペインを結んでいるこの橋は、運が良ければ、雲海の中を走っているような感覚を味わえ、「天国にもっとも近い橋」とも呼ばれてるのも納得ですね。ただ橋の中央あたりは風も強く、高所恐怖症の人は渡ることを考え直したほうがいいかもしれません。高いだけでなく長さも2400メートル以上と非常に長く、自然の美しさと現代の建築美を堪能できます。
17. 勇気を出して一歩踏み出せばそこは絶景!「キャピラノ吊り橋」
高さ70メートル、長さ140メートルを空中散歩できると人気の「キャピラノ吊り橋」。カナダ・バンクーバー郊外にあるキャピラノ渓谷にかかる吊り橋をメインに様々な施設が集まったノースバンクーバーの自然を満喫できる公園にあります。人気観光地のため常に人が多く、立っているだけで左右にグラグラ揺れ、スリル満点です。吊り橋からの絶景もさることながら、キャピラノ川上空91メートルで強化ガラスでできた床から下を望める遊歩道「クリフウォーク」や木々の間を渡る「ツリートップアドベンチャー」など見所はたくさん!
18. フロリダ州最初の吊り橋「サンシャイン・スカイウェイ・ブリッジ」
1954年に建設されたアメリカ・フロリダ州の「サンシャイン・スカイウェイ・ブリッジ」は1980年、180メートル級の貨物船が衝突し、一部の橋桁が破壊され、多数の通行車両が45メートル下の海に落下してしまう大事故がありました。もともと設計や建設角度などに問題があり、それまでにも小さな事故や接触でひび割れなどが起きていたことも原因の一つと言われています。タンパ湾をショートカットしセント・ピーターズバーグとテラセイアを結ぶ橋で利用者も多いですが、このような過去に悲劇的な背景があるだけでなく、現在でも天候が悪い時には視界が悪くなるため危険な橋としても知られています。
19. 天国にかかる橋「セブンマイル・ブリッジ」
フロリダ半島にあるその名の通り7マイル(約10キロ)の橋、セブンマイルブリッジ。50の島々を結んでいる国道US-1号線の間にある42の橋の中でもっとも長いものになります。左右に広がる美しいマリンブルーの海の上を走るのは、まさに楽園へとつながる道のようです。映画「トゥルーライズ」を始め、CMやメディアでもその美しい景観が度々舞台となっています。新旧2本の橋がかけられていますが、現在通行できるのは片側の新しい橋のみ。ハリケーンで壊れてしまった古い方は世界一長いフィッシングピアとして解放されていて、自由に歩くことができます。
20. 大海原のど真ん中にポツン?「ポンチャートレイン湖コーズウェイ」
アメリカ・ルイジアナ州のポンチャートレイン湖を横断する世界2位の長さの橋、コーズウェイ。トヨタ「WISH」のCMに起用されていたので覚えている方も多いのではないでしょうか?アメリカで2番目に大きな汽水湖のど真ん中にまっすぐ一本の橋が貫通しています。ニューオリンズ郊外のメテリーとマンデビルを結んだこの橋の長さは約39キロ!延々変わりのない景色が時を止めてしまいそうですね。この橋が強いと言われているのはこの変わり映えのない景色と全く沿岸が見えないこと。大海原にポツンといるように感じてしまい、パニックになる人が大勢いるんだとか。